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離婚

人生には

解決しなければ先に進めないということがあります。

感情のぶつかり合う場面ではお互いに譲歩が難しいものですが、結局は落ち着くところにしか落ち着かないものです。

そうしたとき、それを見極める冷静な第三者の視点が有用です。

親権者、養育費、財産分与、慰謝料など、離婚に際して取り決める事柄には、法律の知識を要します。

法律家のアドバイスは友人や親族が行うものとは異なりますので、必ずしも思う通りの回答が得られないかもしれません。

しかし、それが現実だとすれば、それにどう向き合うかが問題なのだと思います。

婚姻費用

婚姻費用(こんいんひよう)とは、婚姻中の夫婦間における生活費のことです。

夫婦はお互いに扶助義務といって助け合う義務がありますので、それに従って相手が自分と同程度に生活に困らないように生活費を渡す義務があります。

夫(妻)が生活費を渡さない、別居になって相手が生活費の管理をするようになった、離婚を切り出したら通帳を取り上げられたなどの場合に、婚姻費用が問題となります。

離婚の話し合いと平行して、または、どちらも離婚を求めていなくとも、お互いの収入等の事情に応じて婚姻費用の支払いを相手に求めることが可能です。

離婚の際に取り決めること

離婚の際には、次の5つのことを取り決めるのが一般的です。

  ①離婚すること
  ②子の親権者
  ③子の養育費
  ④財産分与
  ⑤子との面会交流
  ⑥慰謝料
  ⑦年金分割

このうち、未成年の子どもがいる場合は少なくとも②を決めなければ離婚は成立しません。

協議離婚で③〜⑦の取り決めをした際に、合意書のような私文書で残す方法のほか、公的効力を持つ公正証書を作成することもあります。

合意書の各条項にそれぞれどういう効力があるか、一般的な理解と法律の解釈が異なる場合があるのでぜひご相談ください。

①離婚すること

 離婚については、後記の通り、当事者の協議で離婚が合意に至らない場合、公正中立な調停機関を間に入れた話し合いの手続である調停を行うことになります。そして、そこでも合意に至らない場合、裁判に移行します。
 双方が離婚の合意に至らない限り、離婚が成立するためには離婚事由(民法770条1項)が必要になるため、裁判の前の調停の段階から離婚事由があるか否かをめぐって争われることがあります。離婚事由は、代表的なものとしては、不貞行為、DV、長期別居等が挙げられます。
 なお、統計上、離婚全体の9割弱が当事者の協議により成立し、全体の約1割が調停による成立、数%が裁判手続(和解、判決)による成立となっています。

②子の親権者

 親権とは、子の利益のために監護教育したり、子の財産を管理したりする権利義務のことを意味します。
 民法上、離婚の際は、父母どちらか一方を親権者と定めなければなりません。
 親権の帰属について父母の協議がまとまらなかった場合、父母どちらが養育するのが子にとってより良いのかの観点から決定されます。具体的には、従前の監護状況、現在の監護状況や父母の監護能力、子供の年齢、心身の発育状況、この父または母との親和性、子の意思等を実質的に考慮してどちらが適格性を有するか検討されます。

③子の養育費

 養育費は、親の未成熟の子に対して負う扶養義務に基づく、子の生活費です。
 そのため、養育費の金額は、基本的に父母の収入をベースに決めることになります。実務では、子に親自身の生活を保持するのと同程度の生活を保持させるという生活保持義務を前提に養育費の額が計算されています。
 諸事情に照らし、私立学校の学費や、習い事の費用等について相当と認められれば、上記計算よりさらに上乗せて一方配偶者が他方配偶者へ養育費を分担する義務を負うことがあります。

④財産分与

 財産分与とは、離婚に際し、夫婦の財産等の清算のために一方が他方に財産を分与することをいいます。
 財産分与の対象は、夫婦の共有財産や、名義は一方に属するものの双方の協力により取得した財産です。そのため、婚姻前から所有していた財産、相続により取得した財産、贈与を受けた財産等は財産分与の対象にはなりません。
 また、財産分与は婚姻中に夫婦が協力して形成した財産を対象にするため、婚姻中であっても別居後に取得した財産は対象になりません。
 財産分与は、対象財産を夫婦で半分ずつ分けるのが原則です。ただし、財産分与には、夫婦財産関係の清算のみならず、扶養的要素や慰謝料的要素も含まれるため、当事者の協議が整わず、裁判所が定める場合、裁判所の裁量が広いのが特徴です。

⑤子との面会交流

 面会交流とは、未成年の子を監護していない親が、子と会ったりzoomの利用や手紙のやり取り等を通じて交流することをいいます。
 原則として夫婦で協議して面会交流は定められますが、協議が整わない時は、家庭裁判所が定めることになります。
 面会交流は、子の利益を根拠にするものであり、面会交流実施の有無やその方法については、子の利益の観点を常に意識する必要があります。

⑥慰謝料

 不貞行為や暴力等により離婚した場合に、それにより生じた精神的苦痛に対する損害の賠償として慰謝料請求が認められます。
 離婚慰謝料は不法行為に基づく請求であるため、双方に同程度の責任がある場合や、一方の責任が少し重い程度では慰謝料請求は認められにくいということに注意が必要です。

⑦年金分割

 婚姻期間中に納めた厚生年金保険料は夫婦が共同で負担してきたという考えに基づき、離婚から2年以内に年金事務所に年金分割を請求することで、他方配偶者の同意なしに厚生年金の報酬比例部分の半分を受け取ることができるという制度です。

調停・審判・裁判

離婚に関する話し合いが合意に至らない場合には、その内容によってそれぞれの手続きがあります。

まず、離婚については、原則として、裁判の前に調停を行うことが必要です。

離婚調停では、必要に応じて①〜⑦のテーマのほか、離婚までの婚姻費用を話し合うこともあります。

なお、慰謝料については、離婚調停を経ずに、初めから裁判を行うことも可能です。

離婚調停で、離婚は合意できたが子どもの親権者が決まらない、財産分与のみ決まらない、などそれぞれのケースに応じて手続が異なることがあります。

また、相手の浮気が原因で離婚問題になっているようなときは、浮気の相手方に対する慰謝料請求の余地もありますので、それぞれどのように進めて行くか、よく協議して方針を決します。