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そのほかの名義変更

相続が開始して、遺産分割協議が済んだ場合に名義変更が必要になるものは、預金・不動産以外にもあります。

例えば、車・賃借権・株式・投資信託・ゴルフ会員権・電話加入権などが一般的でしょう。

そのほかにも、住宅ローンを引き継いでいくとか、場合によっては裁判をしていたものを引き継いでいくなんてこともあるかもしれません。

賃貸借は次のところで解説するとして、ここでは預貯金と不動産以外の名義変更について解説します。


まずは、車。

車は、普通車と軽自動車で手続きが異なります。

普通車

普通車は、陸運局で手続きをします。

遺産分割協議で単独での相続が決まった場合

 ①申請書・・・OCR シート第1号様式。
 ②手数料納付書・・・登録印紙500円貼付
 ③自動車検査証・・・車検の有効期間のあるもの。
 ④自動車保管場所証明書・・使用の本拠の位置を変更した場合に必要。住所等を管轄する警察署より証明を受けたもので発行後1か月以内のもの。
 ⑤自動車税申告書
 ⑥相続関係を示す戸籍等・・・発行されてから3か月以内のもの。
 ⑦遺産分割協議書・・・相続人全員の実印を押したもの。
 ⑧相続人全員の印鑑証明書

共同相続で登録変更する場合

 ①申請書・・・OCR シート第1号様式。
 ②手数料納付書・・・登録印紙500円貼付
 ③自動車検査証・・・車検の有効期間のあるもの。
 ④自動車保管場所証明書・・・使用の本拠の位置を変更した場合に必要。住所等を管轄する警察署より証明を受けたもので発行後1か月以内のもの。
 ⑤自動車税申告書
 ⑥相続関係を示す戸籍等・・・発行されてから3か月以内のもの。
 ⑦-
 ⑧相続人全員の印鑑証明書。未成年者は住民票のみ。

あまり車を共有で登録する需要は多くないのですが、相続の場合には共同相続のまま登録するケースもあります。

上のように単独相続する場合には遺産分割協議が必要です。

ということは、未成年者がいる場合には、通常、特別代理人の選任が必要になるケースがあります。

不動産などもあって、登記のために特別代理人を選任してもらっていればよいですが、車くらいではそれも面倒です。

その場合には、遺産分割協議書が不要な(そのため特別代理人の選任も不要な)共同相続で済ませてしまいます。

いずれも、代理人による申請を行う場合は、申請する人が委任状に実印を押印します(未成年者の分は親権者が押します)。

軽自動車

軽自動車は、軽自動車検査協会というところで手続きをします。

 ①申請書
 ②自動車検査証
 ③使用者の住所を証する書面・・・住民票または印鑑証明書等で発行後3ヶ月以内のもの。
 ④申請者の認印
 ⑤軽自動車税申告書

このほかに軽自動車検査協会の管轄が変わる場合にはナンバープレートをもっていくようです。

相続関係を示す戸籍等や遺産分割協議書などはいらないみたいです。

ちなみにバイクの場合は、

 原付・・・市区町村
 軽二輪・小型二輪以上・・・陸運局

とわかれています。

バイクの場合は、いったん廃車して譲渡するというのが簡単なようです。


次に株式と投資信託などの金融商品。

株式にも証券取引所などで取引されるいわゆる上場株式と、親族が経営している会社の株式などの非上場株式があります。

まずは、上場株式と投資信託などの金融商品について解説します。

これらの特徴は、証券会社や銀行に預けられている、ということです。

なので、相続した場合の名義変更の手続きも、証券会社や銀行に対して行うことになります。

ただ、証券会社の口座名義を変更するのか、株主名簿の名義変更をするのかで、提出する書類は違ってくるようです。

それを踏まえて、一般的な必要書類を。

【遺産分割協議で相続することが決まった場合】

必要書類は、

 ①相続関係を示す戸籍等
 ②遺産分割協議書
 ③相続人全員の印鑑証明書
 ④株券(発行されていない場合は不要)

これらをそろえて、
 各証券会社所定の相続手続きの書類
 相続した人が新たに口座を開設する書類

などを記入して提出することになります。

【遺言書がある場合】

 ①相続関係を示す戸籍等
 ②遺言書
 ③取得することになった人の印鑑証明書
 ④株券(発行されていない場合は不要)

と、②③が変わります。

このほか公正証書遺言以外の場合は、検認調書も用意しておくとよいでしょう。

投資信託も基本的には手続は同じです。

では、非上場の株式ではどうでしょう。

非上場株式の場合は、その会社との直接の手続きです。

単独相続か、遺言書があるか、遺産分割協議が済んだ場合には、株主の名義書き換えを請求できます。

添付する必要書類は基本的に銀行に提出するものと変わりません。

なお、遺産分割協議前は、共同相続人間で共有されている状態です(株式数ごとに分割されず、全株を共有しているとかんがえられています)。

株式の譲渡制限が定められている会社でも、相続がおきれば相続人が株式を取得します。

ただ、定款で、相続人への売り渡し請求ができると定められている場合には、相続が開始したことによって会社から株式を売却するように請求があることもありますので、まずは相続があったことをその会社に連絡して問い合わせることなどが必要です。


ゴルフ会員権

【遺産分割協議で決まった場合】

 ①相続関係を示す戸籍等
 ②遺産分割協議書
 ③相続人全員の印鑑証明書
 ④預託金証書

これらをそろえて、
 同意書
 入会申込書

などを記入して提出することになります。

【遺言書がある場合】

 ①相続関係を示す戸籍等
 ②遺言書
 ③取得することになった人の印鑑証明書
 ④預託金証書

このほか公正証書遺言以外は検認調書も用意しましょう。

いずれも預託金証書が亡くなった場合は紛失の処理が必要です。

また、ゴルフ会員権の中には、その会員本人のみで一身専属的に相続の対象にならないタイプの会員権もありますので、ゴルフ場に手続きを確認することが必要です。

さらに、名義変更料などの費用が必要になるところも多いでしょう。


電話加入権

電話加入権に財産的価値がある時代は終わりましたが、番号を引き続き使いたいということで名義変更をすることも多いでしょう。

この場合は、相続関係を示す戸籍等があれば、ほかに必要書類はなさそうです。

電話番号の奪い合いになるケースも稀にあるようですが。


借金の名義変更についても解説しましょう。

おそらく一番問題になるのは住宅ローンの名義変更の手続きでしょう。

すでに不動産を失った後の住宅ローンを好き好んで相続する人もいないでしょう。

そういう場合は、相続財産全体を眺めて、何もいらなければ相続放棄してしまいます。

また、住宅ローンの中には、債務者が団体信用生命保険に入っているものもありますので、その場合には保険が下りて、ローンの残債務が消えることもあるでしょう。

それらの場合には、住宅ローンの名義変更という特別な問題は生じません。

多くの場合には、共同相続人(複数の相続人たち)の間で、その住宅を誰か一人が相続するかわりに、住宅ローンもその一人が全額を引き継ぐようにしたいというものです。

これは、その住宅を相続しなかった他の相続人からそういう要望が出るのが普通です。

つまり、借金は債務です。

しかも、分割債務。

そのため、相続が開始した時点で、相続人には法定相続分に応じて、分割された債務が承継されています。

すでに承継されているので、別段名義変更の手続きなどは必要ないのですが、収まらないのはその不動産をもらわない他の相続人です。

なにしろ、物はもらわず、借金だけ負うのですから。

また、そうした取り決めがなされた時は、その後の支払いも住宅を相続した者が責任を持ってあたるとされるのが一般です。

そうしたことから、住宅を取得した相続人が金融機関と協議して、債務者の変更を申し込んで、他の債務者の義務を軽くしてあげるということをするわけです。

実際の手続きは、各金融機関に問い合わせてもらうほかありません。

その住宅の担保としての価値、住宅を取得する相続人の資力などによっては、金融機関の側で債務者の変更に応じないということも考えられるところです。


最後に、変わったところで、訴訟を承継するということがあります。

被相続人が訴訟をしている途中で亡くなった場合に、その訴訟を相続人が引き継ぐというものです。

具体的には、中断と受継という手続きが生じることになります。

弁護士などの代理人を付けていた場合に中断が生じないことや、相手側からも受継の申立てができることなど、いろいろな手続きがあるのですが、もしそんなことがあれば相談にいらしてください。

解説は省略します。

次は、賃貸物件がある場合のお話をします。