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誰が相続人?

いよいよ、相続手続きの内容に入っていきます。

まずはとにかく、誰が相続人か、はっきりさせることが必要です。

うちは兄弟二人だから・・といっても、こればかりは戸籍を取り寄せてみないことにはわかりません。

いわゆる相続人の範囲の問題です。

ここの解説で何度も出てくる「被相続人」(ひそうぞくにん)というのは亡くなったご本人のことですよ。

それではいきます。


法律で定められた相続人のことを法定相続人(ほうていそうぞくにん)と言いますが、法定相続人の基本は「配偶者+もう一組」です。

「もう一組」というのは、子とか親とか兄弟姉妹とか、の属性(種類)のことを言います。

子が何人か、兄弟が何人かは、ここでは関係ありません。

一人でもいれば、その属性の人(もしくは人たち)が相続人になります。

基本のパターンは8種類です。

配偶者あり
 ①配偶者と子
 ②配偶者と親
 ③配偶者と兄弟姉妹
 ④配偶者のみ

配偶者なし
 ⑤子のみ
 ⑥親のみ
 ⑦兄弟姉妹のみ
 ⑧相続人なし

ここに「子+親」とか「子+兄弟姉妹」とか「親+兄弟姉妹」とかの組み合わせはない、というのがわかりますか?

「配偶者と○」か「○のみ」、ということです。

これに代襲相続(だいしゅうそうぞく)などの変則形が組み合わされるのですが、それはのちほど。

では、どのパターンにあたるのかをどういう順序でチェックすればよいか、を解説しましょう。

① まずは、被相続人が亡くなったときに配偶者(夫または妻)がいたかどうか。

これは被相続人の戸籍を取ればすぐわかります。

もちろん、結婚したことがなかったり、すでに離婚していたり、配偶者が死亡しているなどで配偶者がいない場合には、配偶者なしになります。

配偶者との関係では、あとで出てくる代襲相続も考えなくてよいです。

② 次に、子がいるかどうか。

なお、子は夫婦の間の子・養子に加え、認知しただけの子(非嫡出子)もすべて相続人になります。

③ 上の②で子が相続人になるはずが、当の子が孫を生んでから死亡(欠格・廃除)している場合は、その孫。

これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

その孫も、ひ孫を生んでから死亡等している場合は、そのひ孫も。

④ 上の②③で子(もしくは孫・ひ孫・・・)がいない、という場合には、相続人は上の世代へと向かいます。

配偶者がいれば、配偶者と親。

配偶者がいなければ、親だけが相続人です。

両親が存命ならば両親。片親だけ存命している場合はその片親。養親がいる場合は養親も相続人です

両親(と養親)がすべて亡くなっているときは祖父母のうち存命の人が相続人です。

⑤ 下の世代(もしくは孫・ひ孫・・)がおらず、上の世代も死亡している、という場合は兄弟姉妹が相続人になります。

配偶者がいれば、配偶者と兄弟姉妹。

配偶者がいなければ、兄弟姉妹だけが相続人です。

⑥ 上の⑤で、兄弟姉妹に行くはずが、当の兄弟姉妹も死亡等している場合は、兄弟姉妹の子へ降りて行きます。

つまり、兄弟姉妹の代襲相続です。

ただ、子の代襲相続と違って、兄弟姉妹の場合には孫までの代襲相続はしないことになっています。


はい! 理解できましたか(^^)

もう一度、復習のために図にしてみましょう。

図の読み方の基本ルールはこうです。

図1(配偶者と子)

まずは、子一人のケース。

子が二人。

前妻の子がいたりすると、こう。

認知していると、こう。

死亡したときに離婚していれば、配偶者は相続人ではなくなります。



図2(配偶者と親)

親は生きていれば二人とも相続人。
養親がいればそれも親。

片方なら片方だけ。

図3(配偶者と祖父母)

親が両方亡くなっていると、祖父母。



図4(配偶者と兄弟姉妹)

両親やその上の世代がすべて亡くなっていると、兄弟姉妹へ。

図5(子の代襲相続①)

子に孫があり、子が祖父母より先に亡くなっていると、祖父母→孫。
これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。
ひ孫、玄孫・・と永遠に生じます。
相続開始のとき、胎児だった孫に注意です。


図6(兄弟姉妹の代襲相続)

代襲相続は、兄弟姉妹の子にも起きる。

ただし、兄弟姉妹が相続人のときの代襲相続は兄弟姉妹の子まで。


ご自身のケースが当てはまるものがありましたか?

たくさんケースを挙げたのは、あとで相続分の解説をするためです。

相続人の範囲の定めを知ることは「どの範囲の戸籍を集めればいいのか?」を知るために必要ですが、ご自身のケースだけを考えれば、それほど複雑ではないはずです。

なお、親族の中に何人か亡くなる人が続いて、それぞれの相続手続が済んでいない場合には、死亡の時期を正確に確認して、順序を追って、代襲相続に注意しながら、相続人の範囲を丹念に追いかける必要があります。


なんと! ここまでが基本編です。

さて、相続人の範囲についての特殊な場合として、私の頭に浮かぶだけでも次の五つのケースがあります。

一つ目は、相続が開始した(被相続人が亡くなった)時に、胎児である者は相続人として扱われるということです。

ただ、生きて生まれなかった場合は、相続人としては扱われなかったことになります。

二つ目に、被相続人と相続人が同時に死亡したケースでは、その両名の間には相続がおきません。

つまり、父親と子が同時に死亡した場合には、父親から子への相続は発生しないことになり、その逆もおきません。

例えば、子が一人のケースだと、父親の財産は妻と父親の両親(両親が死亡していれば兄弟姉妹)が相続する、というようなことになります。

ただ、これにも例外があって、同時に死亡した子に既に子(ないし胎児:のちに無事に生まれることが条件)がいれば、父親の相続にあたり、子の子(孫)が代襲相続します。

三つ目に、相続人の資格は重複して生じることもあるということです。

例えば、孫が祖父と養子縁組をしている場合で、先に父親が亡くなったいるケースでは、祖父が亡くなって相続が発生する際に、孫は、養子として相続人であり、かつ、父の代襲相続も発生して、二重に相続人となるわけです。

四つ目に、養子の子は、養子になる前に生まれていると代襲相続人にはならないということです。

下の図のようなケースで、養子縁組前(①)に生まれていた孫は、代襲相続人にはなりません。

図7

反対に、養子縁組後(③)に生まれた孫は、代襲相続人になります。

五つ目に、法改正前の相続が生じている場合です。

相続人の範囲に関する所では、次の二つの法改正が、影響します。

①昭和22年5月2日以前の相続開始
このときまでに相続開始をしたもので、昭和23年1月1日までに家督相続人を選定しているものは、家督相続人に単独相続されているはずです。

②昭和55年12月31日以前の相続開始
兄弟姉妹の代襲相続が、子まででなく、孫・ひ孫と無限定に認められていました。


むむむ、いきなりややこしいですね。 一般の方向けに解説しているとは到底思えませんね。すいません。

まぁ、ご自分のケースさえ理解できれば、相続人の範囲の問題は全部理解する必要はありません。

次へ、進みましょう。