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相続財産を探せ!

さて、これまでどういった資産や負債が相続財産に含まれるか、を解説してきました。

しかし、それもこれも、まずは相続財産が見つからないことには話し合いのしようもありません。

大事な資産を見逃したまま遺産分割協議をやって、あとからソレが見つかったために全てをやり直し、なんてこともあるのです。

また、多額の借金や保証人になっていることを突き止めなければ、放棄すべきかどうかも判断できません。

もしかすると、財産や借金の契約書を誰かが隠し持っているということもありえます。

何しろ調査が肝心なのです。

調査方法は、それぞれの相続財産ごとに様々で、またアイディアと工夫が求められます。

では、分かりやすいものから一つずつ、解説してみましょう。

まずは、不動産

さすがにそれは分かるでしょー、と思われがちですが、不動産だってなかなか調査が難しい場合があるのです。

まずは、家の中をくまなく探して見ましょう。

権利書があれば、それで分かります。

権利書がなくても、固定資産税の納税通知書などで不動産を持っていることが分かることが多いものです。

また、そういった書類で判明しなくても、相続人が知っている不動産があれば、土地・建物の全部事項証明書 (登記簿謄本のことです。厳密に言うと違うのですが、面倒なのでそう呼びます)を取り寄せます。

全部事項証明書は、法務局で誰でも取れますので、地番 (必ずしも住所と同じではありません) や所有名義であたりをつけて取り寄せます。

窓口でも郵送でもできますし、内容を確認するだけならインターネット (登録が必要。有料) でもできます。

うまくヒットするためには、取り寄せの際にコツがあるのですが、コツがうまく効果を発揮するかどうかは、法務局の係の人が親切かどうかにもかかわります。

ちなみに、借金の担保になっている可能性もあるので、不動産の登記簿謄本を取り寄せる際は、共同担保目録というものを一緒にとるとよいでしょう。

また、公図をとってみて、一体として利用されているような他の土地も調査してみる必要がありそうです。

そこから芋づる式に被相続人名義の不動産が判明するなんてこともありますので。

次に、相続人が良く知らないけど、確かあの辺りに土地を持ってたような気がする、という場合は、市町村(区)の役所にいって、被相続人の不動産の名寄せ帳(なよせちょう) というのを取ると良いです。

名寄せ帳は、正式名称が自治体によって違いますが、「土地家屋課税台帳」とか「固定資産課税台帳」などという名前で発行されます。

これは相続人であれば取れるはずです。

その名寄せ帳には、その市町村(区)の中で、被相続人の名義(単独も共有も)となっている不動産の一覧表が出ています。

なので、どの市町村(区)か自信がなければ、心当たりの役所を回って、名寄せ帳をとりまくる(不動産をもっていなければ書類は出ません)ということをします。

法務局の登記簿謄本は、不動産の名義を登記していなければ載りませんので、未登記の建物は判明しませんが、名寄せ帳は、固定資産税をとる目的で市町村(区)が作っていますので、未登記の建物でも載っていることがあります(漏れていることもあります)。

さらに、ここまでしてもまだ見つからない不動産もあります。

例えば、借金のカタに、山奥の別荘をもらっていた、というような場合で、まだ名義を変えてないというようなときです。

名義を変えていないので、権利書もなく、納税通知書もなく、名寄せ帳にも載りません。

しかし、実際に別荘をもらったのですから、立派な相続財産です。

ここまでくると、噂話の段階から、詳細な証言まで、様々です。

火のないところには煙は立たないと言いますので、何かあるかもと思った場合は、人の話をたどっていって真相を突き止めるしかありません。

付き合いのあった農協や不動産屋に生前の取引を聞いてみるなんてところから思わぬ取引が判明することもあったり、なかったり。

共同担保目録をとったり、公図であたりをつけたり、法務局でうまいこと登記簿謄本を申請したり、関係者の証言を聞き取ったり、というあたりにプロのノウハウがあるものです。

それでも、あの辺りにあったはずだ、という家族の思い当たりにまさる情報はありません。


次に、預金を調べてみましょう。

まず、自宅に通帳があるなど、すでに判明している銀行などの金融機関に対しては、被相続人の死亡日の残高証明書を取り寄せてみましょう。

残高明細書の発行は、相続人の一人でも可能です。

口座がわかったならば、その取引明細表も欲しいところです。

手続きはあまり難しくありませんが、ここでも大事なのは、○○銀行の○○支店に口座があったはずだ、というところまであたりをつけなければなりません。

もし、まったく思い当たらないというときは、近所の金融機関を片っ端から回って取り寄せてみるほかありません。


その他、株券・投資信託・ゴルフ会員権・保険契約

他にも、預金だけでなく、これらの相続財産の場合もほぼ同様です。

家の中を探し回って、郵便物などからヒントが見つかれば、とにかく聞いて回る。

例えば、ゴルフ会員権をもってたな、という方の場合はゴルフ場もあたってみる必要があります。

株などをやっていた方の場合は、思い当たる証券会社を。

ただ、株式が上場会社でない場合は、人づてに聞いて回るしかないかもしれません。

人に貸してるお金がある(貸し金債権)なんてのも、借用書が見つからなければ、聞いて回るしかありません。

ほかにも、付き合いのあった自動車屋さんや保険代理店に聞いてみる必要もあるかもしれません。

何をどこまで調査するかは、亡くなった方の資産や生活状況しだいです。

個人事業をされていた方などは、古い決算書や、つきあいのあった税理士からヒントを得られることもあるかもしれません。


動産(どうさん。不動産以外の物のことです)

これも、とにかく探す、につきます。

まぁ、あまり高価でないようなものは相続財産などと仰々しく分割しないで、形見分けだから、と簡単にその場で分けてしまうケースも多いでしょう。

もちろん、もめないように注意が必要ですが。


さて、調査するもののなかで、大事なのが債務です。

要は、借金

これがいくらあるかによって、相続後のやることが変わってきますので、早く、なるべく正確に、把握したいものです。

まずは、家の中を探しましょう。

借用書、カードや消費者金融の取引明細などを見つけます。

大きいものでは、不動産の登記簿謄本を取り寄せた際に、担保設定されていることからわかるものもあります。

金融機関からの借金は、民間の信用情報会社に照会をして調査するという方法もあります

照会結果を得るまでに時間もかかりますから、急ぎたいところです。

金融機関以外の借金は、借用書などがなければ、聞いて回るほかありません。

また、保証人になっている、というのも立派な債務です

しかも、借金と違い、保証人になっただけで手元に借用書をもっていないというケースも多いので厄介です。

これは、金融機関に思い当たることがあれば問い合わせ、また、大事なことなので相続人全員に情報提供してもらうことも必要です。

もし、借金のほうが上回る、もしくは、上回りそうだ、ということになれば、相続放棄も視野に入れなければなりません。

相続放棄は3ヶ月以内ですので(あとで詳しく解説します)、この調査は、急ぐ必要があるのです。


調査に関して、補足。

これまで相続財産の調査について解説してきましたが、これらの調査は被相続人の名義の財産を調査しながら、同時に、寄与分や特別受益があるか、それらに対する態度をどうするかといったことを頭の片隅に置いておく必要があります。

例えば、実家の登記簿謄本を取ってみたら、長男に贈与されていたとか。

通帳の取引明細を見ていたら、多額のお金が引き出されていて使途不明だ、とか。

そういった思惑もからみますから、相続財産の調査というのは、一筋縄ではいかないものです。

しかし、ここでの各種の調査や関係者への聞き取りが、その後の遺産分割協議の大前提となりますので、相続の手続きの前半での最大のヤマ場といえるでしょう。