相続>遺言>どうやって書くの?

どうやって書くの?

ここはありきたりな解説が続く、遺言の方式というお話です。

ほかのサイトにもいっぱい説明があるでしょうから、簡単にいきます。

遺言の種類には、
 ①自筆証書遺言
 ②公正証書遺言
 ③秘密証書遺言
 ④その他特別な方式
とあります。

④は、病気その他の理由で死亡の危急に迫った人(危急時遺言)や伝染病のため隔離されている人や船の中にいる人が書くもの(隔絶地遺言)で、極めて特殊なものです。

なので、①~③までを説明することにします。

①自筆証書遺言

これは自分で書く遺言書です。

もっとも簡単ですが、最も難しい遺言書と言えるでしょう。

まず、遺言の全文、日付、署名は、遺言をする本人が自筆(じひつ)してください。

自筆というのは自分の手で書くことで、パソコン、タイプライター、テープに録音を吹き込むといった方法ではダメです。

遺言書は、紙にインクで書くというのが普通ですが、鉛筆でダメということはありません。

たぶん、木簡に墨で書いてもらってもよいと思います。

刺青を彫る、石に彫り込むというのはどうなんでしょう・・まぁ、それはやめてください。

自分で書いたものでもコピーではダメです。

ただ、カーボン紙をひいて書いたものは二枚目以降のものを使っても良いようです。

本文を自筆で書けばいいと思って、財産目録はパソコンで書いたものを添付した、というのでもダメとされたケースもあります。

全部を手書きで書きましょう。

ハンコも押してください。印鑑登録した実印でなくとも結構です。普通は、自分の苗字が書かれたハンコが良いでしょうね。

親指を押した拇印(ぼいん)で絶対だめかというとそうでもないようですが、印鑑でお願いします。

文を訂正した場合は、きちんと訂正しなければなりません。

民法は訂正についてやけに厳しくて、欄外に○字削除、○字加入と書いて捨印をするだけではだめです。

具体的には、訂正個所を線で抹消して横に字句を加入して押印し、その欄外に「○字削除○字加入」と書いてそこに署名をする必要があります。

また、紙が何枚かあるときは、念のため契印をしましょう。

なお、夫婦二人で一人の紙に書くとかはダメです、一人ずつ書きましょう。

封筒には入れても入れなくても良いです。

ただ、なるべく封筒に入れて、「遺言書在中 家庭裁判所の検認まで開封を禁ず」と書いて日付と開け口に封印をしておくとよいでしょう。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において開けなければならないことになっていますので、一応、偽造が防げます。

ね、自分で書くのは難しそうでしょう。

これでは、内容を考える前に肩が凝ってしまいます。

やはり、遺言書の記載のルールは専門家に任せることにして、書く方としては内容に集中したいものです。

②公正証書遺言

そこで出てくる専門家が、公証人です。

この公証人と言うのは、独立採算の公務員という不思議な人たちです。

全国には公証人役場というところがあるので、そこで書いてもらうのが公正証書遺言です。

公正証書は、公証人が作ってくれますので、遺言する人はその意思を伝えればよく、要はしゃべればよいことになります(最後に署名押印はしますが)。

しゃべれない方が公正証書遺言を作成する方法もあります。

もちろん内容は自分で考えなければなりませんが、どういうことを実現したいかといを相談しながら公証人と一緒に考えていくということも可能です。

ただ、公証人の中にも、元裁判官という人から元検察事務官なんて人までいます。

司法関係の役人の天下り先と考えてもらえば良いのですが、元検察事務官なんて人はそれまでの仕事で遺言や相続のことをやったこともない人ですので、複雑な相続を解きほぐす効果的な遺言などは思いつかないでしょう。

なので、すべて誰ダレに相続させる、なんていう簡単なものでない場合には、公証人役場へ行く前に弁護士に相談したほうがよいでしょう。

弁護士が事情を聴いて、戸籍や相続財産を調査して、そのうえで遺留分などの対策を加味しながら文案を作り、それを公証人役場にもっていき、弁護士に立ち会ってもらって作成するというのがベターです。

公証人役場で公正証書遺言を作る際の費用も決まっています。

作成した公正証書遺言は、原本を公証人役場に保管し、正本と謄本を渡してくれます。

謄本はただのコピーですので、いらないと言えばくれません。

正本が一番大事なものです。

原本は、公証人役場で保管されて、遺言書を探せ!のところで解説した遺言検索システムでそれを探り当てた相続人などが、そこから正本や謄本を取り寄せることができます。

公正証書遺言を作成する際は、証人2名が必要で、推定相続人、未成年者、被後見人、被保佐人、公証人の配偶者・四親等内の親族、書記及び雇人などは証人になれません。

親を公証人役場に連れて行き、伯父さんや叔母さんに証人になってもらうという方法もありますが、弁護士に相談した場合などは、弁護士や法律事務所の職員が証人になってくれるので、便利な場合があります。

先ほどは、頼りにならない公証人もいるようなことを書きましたが、なんといっても遺言の方式については公証人はプロ中のプロですから、ルールが厳格で見つけた相続人も面倒な自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言をおススメしています。

③秘密証書遺言

最後にこれの説明を。

これもなんだかややこしいです。

条文があるので、見てみましょう。

(秘密証書遺言) 第九百七十条

  秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

二 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。

三 遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。

四 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

2 第九百六十八条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

968条第2項というのは、自筆証書遺言のところの訂正のやり方の条文です。

この秘密証書遺言というのは、公証人と証人2人以上が立ち会って、生前の本人(遺言者)が「これはわしの遺言書じゃ」と言うのを聞いて、公証人たちが署名押印することを条件に、自筆証書遺言よりも作成の仕方が簡単になっているものです。

これは、証人にもその内容を秘密にしたいときに使います。

なので、聞かれてもよい証人さえ用意できれば、通常この方式は取りません。

また、もし証人が不適格者で秘密証書遺言の方式に違反して無効になっても、中身が自筆証書遺言として有効であれば、遺言として有効になります。

ただ、秘密証書遺言は、確認できない本文が自筆でかかれていなかったりすると、自筆遺言証書としての効力も生じません。

よほど遺言書の書き方に自信があって、弁護士にも知られたくないという人は使ってもよいですが、それでも証人二人は用意しなければならず、内容は知られないと言っても遺言書を作ったことは知られるので、どうせなら公正証書遺言がよいのではないでしょうか。